積み上げてきた「質」の勝利 次の舞台は「世界」だ!

”質”というものの小気味良さが充満した優勝だった。フィジカルでもスピードでも勝る相手に勝つことができるスポーツは実は少ない。高さと速さとパワーとスキルで優劣が決まるのがスポーツだ。弱いものは負ける。サッカーはその数少ない例外だろう。弱さはカバーできるのだ。背が低くとも、足がずば抜けて速くなくとも、体力で劣ろうとも、スキルと知恵と感性と、仲間との連係で勝利を呼び込むことができる。弱さ(負の要素)は、何かと何かが反応し合い、その化学変化のなかで”質”へと転じ、勝利を呼ぶ。それがサッカーだろう。”フィジカルの差が出た”と最後の最後に嘆かないためにも、もう一度、サッカーの醍醐味と、この国のサッカーのよりどころをわれわれは見据える必要がある。G大阪のアジア制覇はそんなことを思い知らされた優勝だった。
質の中身は、このクラブが積み上げてきたものだ。育成力はこのクラブの根幹。その上に、このクラブは自分たちのサイズに合った、コンパクトで高度なパスサッカーと攻撃貫徹のスタイルを生み出してきた。国内ではその強みと弱みが相手チームに咀嚼され、特に今季攻撃サッカーの軸・バレーが抜けた後はチームが空転し、結果をだせずにもがいた。しかしクラブの”基礎”は嘘をつかなかった。積み上げてきたガンバ・クオリティーは、チームを裏切らず、アジアクラブ最高峰という答えをこのクラブにもたらした。日本のクラブの連覇。これを過大評価も過小評価もしたくない。
アジア王者の矜持を持って世界と戦ってほしい。クラブの、そして日本サッカーの質が問われるのはまさにその舞台なのだ。

11/14発売 ELGORAZO 一面の文章 全文引用